第一回日本伝道会議

京 都 宣 言(第1回日本伝道会議)

現代世界はまことに混迷を極めており、わけてもわが国においては、靖国神社法案において端的に見られる反動化の傾向がいちじるしい。その中にあって、唯一の救い主イエス・キリストをあかしすべきキリスト教会においても、ある教会においては、聖書からはずれたメッセージが語られ、福音を世俗化する誤った傾向が増大しつつある。
私たち聖書信仰に立つ者は、このことを憂えると同時に、私たち自身も、福音を全世界に伝えるべき大使命(マタイ28:18〜20)に対して、忠実でなかったことを認めざるをえない。
それで、「聖徒にひとたび伝えられた信仰」(ユダ3)のあかしのために、宣教に関する聖書の教えを、現代において正しく把握し、これを明確に宣言する必要を、ここに痛感するに至った。そこで、私たちは日本伝道会議を開き、互いに重荷を分かちつつ、みことばをともに学んだ。
私たちは現代社会が多くの問題をかかえていること、および、それに対して、従来私たちの力が及ばなかったことを認識するものであるが、まず、中心的問題として、今日における宣教をとりあげた。いま、この会議を閉じるにあたり、この宣言文を発表する。

1. 私たちは、聖書66巻が唯一の誤りなき神の権威あるみことばであり、私たちに、罪からの救い主である主イエス・キリストを示し、信仰と生活の唯一の基準であることを告白し、宣言する(Uテモテ3:15〜17)。
 それゆえ、聖書を救いの経験についての単なる人間の証言にすぎないと見る立場や、聖書を現代の諸問題解決のための単なる参考資料とする立場をしりぞける。

2. 私たちは、福音の中心である主イエス・キリストが神の受肉者であり(ヘブル1:3)唯一の救い主でいますことを告白し、宣言する(使徒4:12)。
 それゆえ、主イエス・キリストを単なる理想的人間と見る立場や、社会改革の模範と見る立場に反対し、また、イエス・キリストでなくても救われると教える異教や混合宗教(シンクレティズム)、ならびに、イエス・キリストが救い主なる神であることを否定する異端をしりぞける。

3. 私たちは、福音の提供する救いが、単に貧困や政治的・社会的圧迫からの解放ではなく、人間の不幸・悲惨の根本的原因である罪、および、その結果であるいっさいのものからの救いであることを表明する。主イエス・キリストは、そのために私たちの身代わりのあがないをなしとげられたことを告白する(Uコリント5:21)。
 また、全人類は、キリストの十字架上のあがないによって、すでに救われているとする新普遍救済主義(ネオ・ユニヴァーサリズム)をしりぞけ、信仰と悔い改めによって新生した者のみが救われることを告白し、宣言する(ルカ13:3、ヨハネ3:3〜5)。

4. 私たちは、この福音を宣べ伝える使命を主から委ねられた主体が教会であることを確認する。教会は主の再臨の日まで、聖霊の助けにより、建て上げられていくと同時に(エペソ4:12)、その主イエス・キリストを宣べ伝える使命があることを告白し、宣言する(マタイ28:18〜20)
 単なる人間の努力によって、理想的世界が実現するという思想に反対し、私たちは、神の力によってのみ、神の国が完成することを告白し、宣言する。聖書信仰に立つ私たちは、教会の使命を遂行するため、全き献身と御霊による一致・協力が求められていることを告白し、宣言する(マタイ24:14、ピリピ1:27、28)。

5. 私たちは、日本のすべての教会が世界宣教の使命を与えられていることを確認し、ことに、日本における宣教に大きな責任のあることを痛感する。そこで、私たちは主の御前に、次のことを決意し、宣言する。
 まだ福音を信じていない人々に、福音宣教の重荷をおぼえる。私たちは、それぞれの関係団体の主体性を尊重しつつ、福音宣教のわざにともに励む。すべての信徒はキリストの証人であり、宣教の担い手である。伝道の具体的協力については、今後、日本福音同盟において、さらに探求する。
私たちは、御霊の教えるところに謙虚に従い、聖書の示す福音を宣教し、主のみこころのなるため、ここに献身を新たにすることを表明する。
主よ。私たちが主の忠実な証人となることができるようお助けください。
アーメン。

1974年6月7日

日本福音同盟主催 日本伝道会議